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<title>○○○○文庫</title>
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<description>～ 未成年者の閲覧を禁じます ～</description>
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<title>トイレの矢口さん</title>
<description> 「ふう～疲れた・・・。」 矢口真里は洋式のトイレに腰かけると、ほう、と一息ついた。 つい５分ほど前に、自分がＭＣをつとめる深夜ラジオが終わったばっかりだった。終わると同時に真里はラジオ局の隅の方にあるトイレに駆け込んだ。 普段、ほとんど人が利用する事のない、このトイレに真里が来たのには理由があった。「ちょっとだけなら、大丈夫だよね・・・。」真里はそう呟くと、Ｔシャツの上から胸を揉み始めた。「んっ・・
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<![CDATA[ 「ふう～疲れた・・・。」 <br />矢口真里は洋式のトイレに腰かけると、ほう、と一息ついた。 <br />つい５分ほど前に、自分がＭＣをつとめる深夜ラジオが終わったばっかりだった。<br /><br />終わると同時に真里はラジオ局の隅の方にあるトイレに駆け込んだ。 <br />普段、ほとんど人が利用する事のない、このトイレに真里が来たのには理由があった。<br /><br />「ちょっとだけなら、大丈夫だよね・・・。」<br /><br />真里はそう呟くと、Ｔシャツの上から胸を揉み始めた。<br /><br />「んっ・・・！ やっぱり我慢出来なかったよ・・・。」<br /><br /><br />ラジオの放送が始まる前。<br />楽屋で仲の良い女のスタイリストが、真里に一冊の本を貸してくれた。 <br /><br />それはいわゆる“レディース・コミック”という物で、<br />真里が前々から読んでみたいと思っていた月刊誌だった。<br /> <br />軽い気持ちでパラパラとページを捲っていた真里は、予想以上の過激な描写に驚いた。<br />同時に股間が熱くなっていくのも感じた。 <br /><br />本当はすぐにでもオナニーをしたかったのだが、既に本番開始１０分を切っていて <br />それも出来なかった。<br /><br />本番中もさっきのレディコミの絵が頭の中から消えなくて、我慢するのに必死だった。 <br />しかもラジオ終了後にはまた別の仕事が入っていて、すぐに家へ帰ることは出来ないので、<br />真里はほとんど使われていないトイレでオナニーする事にした。 <br /><br /><br />Ｔシャツを捲り上げ、ピンク色の可愛らしいブラジャーをずらすと、<br />小柄な体のわりには大きな乳房が露になる。<br /><br />直接、その膨らみを両手で揉みながら乳首を指で撫でると、<br />桜色の乳首はたちまち尖り始めた。<br /><br />「ああっ・・・んっ・・・！」<br />ピンと立った乳首を摘みながらも、真里の右手は段々と下に向かっていった。<br /><br />むちむちとした太ももを僅かに覆っているだけの短いフレアスカートを <br />さらに上まで捲り上げてしまう。<br /><br />「あんっ・・・！！」 <br />ブラジャーとお揃いのピンク色のパンティの股間を軽く擦っただけで <br />真里は思わず大きな声をあげてしまい、慌てて抑えた。 <br /><br />（やだっ、いつもより感じちゃう・・・。）<br /><br />最近、忙しくて彼氏とＨどころか自慰すら出来なかった事に加え、<br />“ラジオ局のトイレでオナニーしている”という非日常感が真里の快感を増していた。<br /><br />パンティの上から亀裂に沿って指を上下に動かしていた真里だったが、<br />すぐにその手をパンティの中に入れて、直接刺激を加え始めた。<br /><br />「ああんっ・・・！！」<br /><br />真里の声は次第に大きくなっていったが、それを抑えようという考えはもう無かった。<br />ただ“今この瞬間に得られる快感をさらに強くしたい”という事だけが頭にあった。<br /> <br /><br />乳首をいじる指が、パンティの中の手の動きが、次第に速くなっていった。 <br />絶頂が近づいている証拠だった。<br /><br />そして、真里が絶頂を迎えようとしたまさにその時。<br /><br />「モー娘の矢口さん、随分と面白い事やってんのね？」 <br /><br />「・・・っ！！」<br /><br />（見られた！？ どうしよう！？ 夢中になりすぎて、人が来たことに気づかなかったんだ・・・！）<br />突然の声に真里はビクリと体を震わせると、指の動きを止めた。 <br /><br /><br />（でも・・・この声・・・。どこかで聞いたことがあるような・・・。）<br />快感が潮が引くように去っていき、真里は慌てて声が聞こえてきた方に顔を向けた。 <br /><br />「・・・！！」<br />隣の個室との仕切り部分から顔を覗かせていた声の持ち主に、真里はさらに驚いた。 <br />そこにいたのは、何と浜崎あゆみだったからである。 <br /><br />「矢口さん、カギを開けて？ あゆを・・・そこに入れてくれるよね？」 <br />いつもの気だるい感じの喋り方ながら、そこには有無を言わせない強さが秘められていた。<br /><br />浜崎の瞳の奥が冷たく光っていることに真里は恐怖を覚え、恐る恐るカギを開ける。 <br /><br />すぐに真里のいる個室に入ってきた浜崎は、後ろ手で再びカギを閉めた。 <br /><br />「あゆがココの廊下たまたま歩いてたら、アンタがココに入ってくのが見えたワケ。<br /> ココって、あんまり使う人いないから、おかしいな～と思って来てみたら、これだもんね・・・。 <br /> それにしても・・・アンタって、こういう趣味があったんだ～。あゆ、驚いたなあ～。」<br /><br />「ち、違うんです・・・こ、これは・・・。」<br /><br />「何が違うの？ オナニーしてたじゃん？ モーニング娘の矢口さん。」<br /><br />「・・・・・・。」<br />そう言われ、真里はこれ以上の反論ができなかった。<br /><br />「黙ってるって事は・・・オナニーしてた事、認めるってコトだよね？」<br /><br />「・・・。」<br />浜崎に強い口調で言われると、真里はもう頷くしかなかった。<br /><br />「ふう～ん・・・じゃあさ、ちゃんと言ってよ。<br /> “モーニング娘の矢口真里はラジオ局のトイレでオナニーしました”って。」<br /><br />「な・・・何でそんな事、言わなきゃいけないんですか！」 <br />そのあまりにも理不尽な言葉に、真里はカッとなって反論した。 <br /><br />「今度の金曜、確かモー娘ってＭステ出るよね？<br /> あゆも出るんだけど・・・その時、今日の事を話しちゃってもいいのかな～。」<br /><br />浜崎の言葉に真里は目の前が真っ暗になった。 <br />顔が青ざめていくのが自分でも分かる。 <br /><br />Ｍステは生放送の全国放送だ。<br />そこで、あゆみに自分の痴態をバラされたら・・・。<br /><br />「ちょ・・・そんなっ・・・やめてっ！」<br /><br />「“やめてください” ・・・でしょ？」<br /><br />「・・・・・・やめて・・・下さい。」<br /><br />「じゃあさ。さっき、あゆが言った事～ちゃんと言ってよね。」<br /><br />真里はもう、自分が浜崎に逆らえないことを察していた。 <br />もし逆らえば、ラジオ局のトイレでオナニーしていた事を全国放送でバラされてしまう。<br />浜崎なら本当にやりかねない。<br /><br /><br />「モ、モーニング娘の矢口真里は・・・ラジオ局のトイレで・・・オ・・・オナニーをしました・・・。」 <br />言い終わると、あまりの恥ずかしさに真里は顔を両手で覆った。<br /><br />浜崎は嬉々とした表情で真里の言葉を聞いていた。<br /><br />「もう・・・いいですか・・・？」 <br />真里は期待を込めて浜崎を見た。<br /><br />しかし彼女の顔には残酷な笑みが浮かんでおり、<br />真里はまだ終わっていない事を悟り、絶望的な気分になった。<br /><br />冷ややかな笑みを浮かべながら近づいてくる浜崎に<br />真里は恐怖を覚えたが、狭い個室に逃げる場所などあるはずがなかった。<br /><br />「あうっ・・・！！」 <br />次の瞬間。<br />真里の口から発せられたのは悲鳴に近い声だった。 <br /><br />浜崎に強く乳首を摘まれたのだ。 <br /><br />「何コレ？ こんなに乳首を尖らせてさ・・・矢口さんってマジ淫乱なんだね～。」 <br />指先で転がすように、真里の乳首を弄ぶ浜崎。<br /><br />「んぁ・・・。」<br />真里の体に再び快感の熱が生まれ、口からは短い喘ぎの声が漏れる。<br /><br />「何、イイ気持ちになってんのよ・・・この淫乱娘っ！」<br /><br />「きゃっ！！」 <br />浜崎に乳首を力強くつねられ、真里の口から激痛の悲鳴があがった。<br /><br />「い、痛い・・・や・・・やめて・・・浜崎さん・・・何で・・・・・・こんな事・・・。」<br /><br />目に涙を浮かべる真里に対し、浜崎の表情は相変わらず冷ややかなものだった。<br /><br />「大体さ～。あんたたち、生意気なのよ。少し売れたくらいでイイ気になってさ～。<br /> タバコの時の事・・・アタシは忘れてないからね・・・！」<br /><br />浜崎のその言葉に、真里は思わず「あっ」と声をあげた。 <br /><br />随分前。<br />未成年だったメンバーが喫煙している事を浜崎に注意されたのだが、<br />真里達は口答えをし、浜崎と険悪なムードになったのだ。 <br /><br />プライドの高い浜崎はそれが気に入らなくて、以来ずっと根に持っていたのだろう。 <br /><br />「あ・・・あの時は・・・ご、ごめんなさ・・・はうっ！！」<br /><br />「今さら謝ったって遅いよ・・・。ほら・・・もっと可愛がってあげるよ・・・・・・。」 <br />浜崎の責めは実に巧みだった。<br />乳首を強く摘まれたかと思うと、その痛みを和らげるかのように優しく愛撫してくる。 <br /><br />真里の口からは、苦痛の悲鳴と快感の声が交互に漏れていた。<br /><br /><br />「く・・・浜崎さん・・・も・・・もう許して・・・もう、こんな事・・・・・・嫌です・・・。」<br /><br />「ん～？ 矢口さん、本当に嫌なの～？」 <br />浜崎はそう言うと、真里のパンティに指を押し当て、乱暴に動かした。<br /><br />「はあんっ！！」 <br />突然、訪れた新たな快感に、真里の口から大きな喘ぎが漏れる。<br /><br />「じゃあさ・・・これは何？」<br /><br />目の前に示された浜崎の指を見て、真里は思わず顔を背けた。<br />その指には真里の股間から分泌された愛液が付着し、キラキラと輝いていた。 <br /><br />「ああ・・・嫌・・・。」 <br />浜崎の手がパンティにかかり、真里は拒否の声をあげたが強い抵抗は示さなかった。<br /><br />「嫌って言ってるくせに、なんでパンティ汚してんの？ バカじゃない？」 <br />脱がしたパンティの股間部分を得意げに見せつける浜崎。<br /> <br />そこには、薄黄色の染みが縦に大きく走っていた。 <br />先程のオナニーというよりも、浜崎の愛撫によって分泌させられた蜜によって<br />汚れてしまった物だと、真里には分かっていた。<br /> <br /><br />「この格好、淫乱な矢口さんに似合ってるよ～。恥ずかしい所、ぜんぶ丸見えだね～。」 <br />浜崎によって便器に片足を乗せられた真里は、<br />パックリと割れた秘部の中まで晒してしまう屈辱的な格好にさせられてしまった。 <br /><br />「やだっ・・・見ないで・・・。」 <br />真里は羞恥に声を震わせながら懇願したが、何故か足を閉じる事は出来なかった。 <br />それどころか、浜崎に見られているだけで体が熱くなってきてしまった。<br /><br />「何？ こんな恥ずかしい格好を見られてんのに、感じちゃってんの？」<br /><br />「・・・。」<br />浜崎の言葉を真里は否定することが出来なかった。<br /><br />「やっぱり～、ここが感じるのかな～？」<br /><br />「ああんっ！！」<br /><br />浜崎の言葉は、真里の喘ぎ声によってあっさりと証明された。 <br />ぷっくりと膨らんだピンク色の肉芽を軽く転がされるだけで、真里の体は何度も震えた。<br />普段でも一番感じる場所だが、今日はそれが一段と強かった。 <br /><br />先程、浜崎に止められた絶頂への熱が一気に燃えあがった。 <br /><br />「あんっ・・・・・・ダメぇ・・・イキそう・・・！」<br /><br />しかしその言葉を聞いた浜崎は、指をクリトリスから離してしまった。 <br /><br /><br />「・・・。」<br />またもやイク寸前で止められてしまった真里は、潤んだ瞳で浜崎を見つめる。<br /><br />「イカせて・・・欲しい？」<br /><br />浜崎の言葉に真里は迷いなく頷いた。<br /><br />「じゃあさ～、これから私の言うこと・・・何でも聞く？」<br /><br />ただただ今は強い快感が欲しい真里は、その内容を深く考えずに再び頷いた。<br /><br />「じゃあさ～、ちゃんとあゆにお願いしてよ。そしたらイカせてあげる。」<br /><br />既に真里に躊躇いはなかった。<br />浜崎の言葉が終わると同時に、その口が開かれる。 <br /><br />「や、矢口は浜崎さんの言うことを何でも聞きます。だからイカせてください！」<br /><br /><br />浜崎の顔に満面の笑みがひろがった。 <br /><br />「あんっ！！」 <br />浜崎の指が、それも一気に２本同時に挿入されると、真里は激しく喘いだ。<br /><br />「気持ちイイ？ 矢口さん？」<br /><br />「んっ・・・はっ・・・はい・・・気持ち・・・良いです・・・！」 <br />指が出し入れされるたびに、ピチャピチャという淫靡な音が響いた。<br /><br />さらなる快感を得ようと真里は指にあわせて、自らも腰を動かし始めた。<br /><br />「ほらほら～、クリちゃんも刺激してあげるよ～。」<br /><br />「はう・・・ああ・・・んっっ・・・そんなに・・・そんなにされたら・・・んあっ・・・イッちゃいます・・・！」<br /><br />その言葉を契機にして、浜崎の指のスピードはさらに速くなる。<br />同時に親指でのクリトリスへの愛撫も始まり、真里の絶頂はついに訪れた。<br /><br />「あんっ・・・もうダメぇ・・・イクぅ・・・イッちゃうぅぅぅぅぅ・・・・・・！！」 <br />ガクガクと体を震わせた真里の頭の中で何度も火花が弾けた。<br /><br /><br />快感の余韻で意識が遠くなっていく真里。<br />あまりの気持ち良さに股間からオシッコが流れ出している事、<br />そしてそれを浜崎が携帯のカメラで撮っている事に気付かなかった。 <br /><br /><br /><br />「真里ちゃん・・・いる？ いたら返事してくれない？」 <br />真里の意識を覚醒させたのは、マネージャーの声だった。<br /><br />そう言えば、もうだいぶ時間が経っている。 <br />もしかしたら大騒ぎになってるかもしれない。<br /><br />「あ、うん。ここにいるよ。ちょっと待って・・・今、出るから・・・・・・。」<br /><br />真里は服装の乱れを直すと、トイレを出た。 <br />その姿を見て、マネージャーはホッとした表情をする。<br /><br />「ごめんなさい。つい寝ちゃって・・・。」<br /><br />「ああ・・・・。ここのところ忙しかったからねえ・・・・・・。」 <br />咄嗟の真里の言い訳を、マネージャーはあっさりと信じたようだ。<br /> <br /><br />マネージャーの運転する車に乗り込んだ真里は、<br />スカートのポケットに何かが入っていることに気付いた。<br /><br />取り出すと、それは折りたたまれたメモだった。 <br />中に書かれた文章を読んだ真里は、再び下腹部が熱くなるのを感じた。<br /><br /><br />『 ま た 遊 ん で あ げ る か ら ね　　ｂｙあゆ』 <br /><br /><br /><br />Original author 飛沙<br /><span style="color:#ff0000">※この物語はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ありません</span><br /><table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:none;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847026977/oooobunko-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-33-origin.fc2.com/o/o/o/oooobunko/20090730043348bcd.jpg" alt="矢口真里写真集 ヤグチ" style="border:none;" /></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/4847026977/oooobunko-22" target="_blank">矢口真里写真集 ヤグチ</a><br />(2002/02/07)<br />橋本 雅司<br /><br /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847026977/oooobunko-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る</a></td></tr></table> ]]>
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<dc:subject>矢口真里</dc:subject>
<dc:date>2009-07-30T00:00:00+09:00</dc:date>
<dc:creator>芥川Ｑ之介</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>二人 ～ｌａｓｔ ｃｈａｐｔｅｒ</title>
<description> 前作二人 ～ｃｈａｐｔｅｒ３翌朝。一樹は８時前に目が覚めた。持田のマンションへは１２時に行く約束だから、途中で買い物をしても十分に余裕はある。手ぶらでいいと言ってくれてはいたが、花くらいは持っていこうと決めていた。一樹はバルコニー側のカーテンをを開け、天気を確認するとユニットバスでシャワーを浴びた。 １０分程でシャワーから出ると、缶コーヒーを飲みながら携帯メールを確認した。持田から一件入っていた。メ
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<![CDATA[ <span style="color:#cc6600">前作</span><br /><a href="http://oooobunko.blog40.fc2.com/blog-entry-216.html" title="二人３">二人 ～ｃｈａｐｔｅｒ３</a><br /><br /><br />翌朝。<br /><br />一樹は８時前に目が覚めた。<br />持田のマンションへは１２時に行く約束だから、途中で買い物をしても十分に余裕はある。<br />手ぶらでいいと言ってくれてはいたが、花くらいは持っていこうと決めていた。<br /><br />一樹はバルコニー側のカーテンをを開け、天気を確認するとユニットバスでシャワーを浴びた。 <br />１０分程でシャワーから出ると、缶コーヒーを飲みながら携帯メールを確認した。<br /><br />持田から一件入っていた。<br />メールは短文で、『おはよう』の他に『たくさん出来そう・・・』とだけ書かれていた。<br /><br />今日のメニューは知らされてない。<br />可笑しさを堪え、『朝食は摂らずに向かう』と返信した。<br /><br /><br />一樹は１０時前に部屋を出て、駐車場へと向かった。<br /><br />土曜日とはいえ、東京方面は多少の混雑が予想される。<br />持田の住むマンションは、都心の有名な高級住宅街にある。<br />土地勘はあるが、多少探す時間も欲しかった。 <br /><br />一樹はエンジンを始動させ、９枚目のシングルから始まるアルバムをセットすると<br />アクセルを踏み込んだ。 <br />何度も何度も繰り返し聴いた曲がスピーカーから流れ出した。 <br /><br />車は第三京浜から首都高速へと乗り継ぎ、順調に持田のマンションへと向かった。<br />思ったほどの渋滞は無かった。 <br /><br />一樹は○○で首都高速を下り、通り添いの花屋の前で車を停めた。 <br />持田のマンションまで後わずかだ。<br /><br />一樹は携帯を取出し、持田に電話を入れた。<br />持田はすぐに出た。 <br /><br />「おはよう～。もうすぐ出来るよ～。」<br />明るく元気な声。<br />昨日までずっと一緒にいたのに、なんだか懐かしい。<br /><br />一樹は現在地を伝え、花を受け取ると運転席に乗り込んだ。 <br />明治通りから駒沢通りへと折れ、少し走った所のパーキングに車を入れた。<br /><br />マンションまでは緩やかな上り坂だったが、二分ほど歩くと着いた。 <br />重厚で贅沢な造りから考えると、間取りによっては億ションだろう。 <br />エントランスのテンキーで部屋番号を押すと、持田の声がしてオートドアが開いた。<br /> <br />「いらっしゃ～い。正面のエレベーターで上がってきてね。」<br /><br />一樹はエレベーターに乗り込み、部屋の前に着くと今度はドアのインターホンを押す。 <br />それには応答はなかったがすぐにドアが開き、笑顔の持田が迎えてくれた。 <br />白いスウェットを履き、薄いピンク色のＴシャツに赤いエプロンを着けている。 <br /><br />「いらっしゃ～い。上がって。場所分かりづらくなかった？」<br />一樹を玄関に招き入れながら聞いてきた。 <br /><br />「すぐ分かったよ。この辺はわりと知ってるんだ。」<br />一樹は靴を脱ぎ、スリッパを履きながら答えた。 <br /><br />「これ、お土産。」<br />一樹は、さっき買った花束を持田に渡した。<br />色とりどりの夏の花が三種類ほど束ねられている。 <br /><br />「ありがとう！ 好きな花ばっかり！」<br />持田は一樹の左手を握り、ダイニングキッチンの方へと歩きだす。 <br /><br />白いクロスを纏った木製のテーブルには、既にグラスや取り皿などが用意されていた。 <br /><br />「座って待ってて・・・すぐに用意するね。お腹空かして来てくれた？」<br />一樹をテーブルに案内すると、持田は言った。 <br /><br />「空いてるよ。朝食べなかったしね。」<br /><br />一樹の答えに、持田は大きな圧力鍋の蓋を開けながら笑顔を見せた。 <br /><br /><br />二人は、テーブルに向き合うように座っていた。 <br />持田が作ってくれた料理は、ポトフ、シーフードサラダ、それとガーリックトーストだった。 <br /><br />「食べてみて。ポトフは何度か作ってるから自信あるんだ。」<br />エプロンを外しながら、持田は照れ笑いを浮かべた。 <br />取り分けられた皿からは、大きめにカットされた野菜やチキンが食欲をそそる匂いを放っている。 <br /><br />「いただきます！ 凄く美味しそうだよ・・・作るの大変だったんじゃない？」 <br /><br />「う～ん、実は圧力鍋使うとそーでもないんだ。」<br />持田は笑いながら正直に答えた。<br /><br />料理は下味が施されとても美味しく、シーフードサラダも<br />その辺の店では決して出さない高級食材が使われていた。<br /><br />これだけの食材が常時、持田の家に揃っているとは考えにくい。<br />ましてや旅行から帰った翌日だ。 <br />きっと昨日、空港で別れた後に食材を揃えてくれたのだろう。<br /><br />「すごく美味しいよ！ いいよね、料理の上手な女の人って！」<br />一樹は皿から目線を上げて言った。<br /><br />「ありがとう。たくさん作ったからいっぱい食べてね。」<br />一樹にサラダを取り分けながら持田は言った。<br /><br />空腹だったこともあり、一樹はすぐに平らげ、ガーリックトーストに手を伸ばした。 <br /><br />「おかわりしてね。」<br />持田は空いた皿を取ると席を立ち、キッチンへ向かった。 <br /><br />「あっ、ごめん！ そういえば飲み物出してなかったね。ビールでいい？」<br />持田は冷蔵庫の前で振り返り、言った。<br /><br />「でも車だから・・・。」<br />一瞬、躊躇し一樹は答えた。 <br /><br />「・・・いいよ、泊まってっても。」<br />少しの間の後、持田は冷蔵庫を開けてビールを取り出した。 <br /><br /><br />食事を終えた二人はリビングのソファーに移動し、床に並ぶように座っていた。 <br />テーブルには持田が出してくれた缶ビールとグラスの他、菓子が盛られた皿が置かれている。 <br /><br />「香織ちゃんビール飲むんだ？」<br />隣に座る持田に一樹は聞いた。<br /><br />「う～ん、そんなに飲まないかな。このビール貰い物なんだ。<br />　今度、ここのメーカーさんと仕事することになってさ。」 <br />持田はDVDのリモコンを操作しながら答えた。<br /><br />外出するつもりもなかった二人は、部屋でDVDを観ることにしたのだ。 <br />DVDは持田が食事の後片付けをしている間に一樹が選んでいた。<br />半年くらい前に上映されたハリウッド映画だ。 <br /><br />テレビの横の棚には、自身のライブDVDや映画などが１００本近く収納されていた。 <br /><br />「これ私もまだ観てないんだ。まとめ買いしても時間なくって。」<br />チョコレートを摘み持田は言った。<br /><br />間もなく映画が始まり、二人は画面に集中した。<br />途中、グラスにビールが無くなると持田は冷蔵庫から持ってきてくれた。 <br /><br />「ごめん、ちょっと止めていい？ トイレ。へへへ。」<br />持田は照れ臭そうに笑うと、リモコンを操作し立ち上がった。<br /><br />一樹は持田に笑顔を向けて頷くと、缶ビールに手を伸ばしグラスに注いだ。 <br />持田の部屋は女の子らしいインテリアで、リビングを見るかぎり男の形跡は感じられなかった。<br /><br />「お待たせ～。」<br />トイレから戻った持田は一樹の隣に座ると、リモコンの再生ボタンを押した。 <br />再び映画が始まる。<br /><br />一樹がゆっくりと持田の肩に右手を回すと、持田も自然に頭をあずけてきた。 <br />起きてからシャワーを浴びたのだろう。<br />持田からは石鹸のいい匂いがした。 <br /><br /><br />「面白かったね。このシリーズって続くのかな？」<br /><br />「どーかなぁ。でも面白いし、続いてほしいよね。」 <br />映画も終わり、二人は他愛もない会話を交わした。 <br /><br />「何か他のも観る？」<br />持田はデッキからDVDを取出しながら一樹に聞いた。<br /><br />「ん～、そーだなぁ・・・ねえ、香織ちゃんの昔の写真とか見せてよ。」<br /><br />「ええ～！？ 恥ずかしいなぁ・・・でも、子供の頃のとかは実家だから最近のしかないよ？」 <br /><br />「うん。」<br /><br />「ちょっと待っててね・・・。」<br /><br />持田は立ち上がり、隣の洋室に入ると二冊ほどアルバムを持ってきた。 <br /><br />二人は、床に置かれたアルバムを肩を並べながらページを捲っていった。 <br />写真はグループが二人になった後からの物らしく、髪の長い持田が友人や関係者と写っていた。<br /><br />また、持田がメディアで話す芸能界の友人との写真もあり、<br />興味深く見ている一樹に色々と説明してくれた。 <br /><br />「・・・あんまり旅行とか行けないから、食べ物屋さんとかのばっかでしょ？」<br />持田は、心なしか寂しそうに言った。<br /><br />「・・・人目もあるから大変だよね。」<br />テーブルのビールを口に含み、ページを捲りながら一樹は言った。 <br /><br />「・・・うん。だから今回の旅行はすごく楽しかったの・・・ホントありがとね。」<br />持田はあらためて一樹に礼を言った。 <br /><br />「・・・香織ちゃんさぁ、俺なんか泊まっちゃっていいのかな？ ほら・・・付き合ってる人とかさ。」<br />一樹は持田を見つめながら言った。<br /><br />二人の間に少し沈黙が訪れる。<br /><br />持田は、さっき見せた寂しげな表情で一樹を見つめていた。<br />その表情に押され、一樹は次の言葉が出なかった。 <br /><br />自分の今の一言が、持田を傷つけてしまったとの思いが急速に膨らみ、<br />一樹は後悔の念に駆られていた。 <br /><br />沈黙が続いていた。<br />棚に置かれた時計の秒針の音が聞える。<br /><br />ふと持田が一樹から目線を外し、ソファーに腰を下ろした。 <br /><br />「一昨日、一樹くんが海辺で自分の気持ちを言ってくれたじゃない？<br />　あれ凄く嬉しかったんだ・・・。」 <br />持田はうつむいたまま呟くように話しだした。<br /><br />「一樹くんのこと好きじゃなかったら、一緒に泊まったりしないよ。<br />　今日だって家に呼んだりしない・・・。」<br /><br />一樹は床に座ったまま、黙って持田を見つめていた。<br /><br />「でもごめんね。私も自分の気持ちをちゃんと話してなかったからさ・・・。」<br /><br />一樹は立ち上がり、持田の隣に座った。<br /><br />「いや・・・俺の方こそごめんね。ひどいこと聞いちゃったかもしれない。」<br />一樹は、持田の手に自分の右手を重ねて言った。 <br /><br />「自信なくてさ・・・。どうしても香織ちゃんが芸能人だってことが頭の隅から離れなくて。」<br /><br />「関係ないよ・・・。」<br />持田は小さな声で答えると、うつむいたまま一樹の肩に頭をあずけてきた。<br /><br />一樹はゆっくりと持田の肩に手を回し、抱き寄せた。<br />その一言で充分に満足だった。<br /><br />リビングに隣接するバルコニーからは、<br />傾きかけた西陽がレースのカーテン越しに差し込んでいた。<br /><br />一樹の肩に頭をあずけ、持田はまどろんでいた。<br /><br />二人は言葉を交わすわけでもなく、ソファーに座り互いの息遣いを感じていた。 <br />この時間が、お互いの相手に対する思いを深めているかのようだった。<br /><br /><br />「買い物に行かない？ 晩ご飯の分は用意してないんだ。」<br />持田が小さな声で話し掛けた。 <br /><br />「そうだね・・・うん、ちょっと出ようか。」<br />一樹も外の空気が吸いたかったこともあり、肩に回した手を緩め頷いた。 <br /><br />「ちょっと待ってて。着替えてくるから。」<br />持田はソファーから立ち上がると、もう一方の洋室の方に歩いていった。<br /><br />一樹はソファーに残り、洋室に入っていく持田の後ろ姿を眺めていた。<br /><br />持田はすぐに出てきた。<br />Ｔシャツはそのままで、スウェットをジーンズに履き替えただけだった。 <br /><br />「お酒飲んじゃったから、近くのスーパーだね。」<br />持田は緑色のキャップを被りながら笑顔で言った。<br /><br />二人は玄関を出てエレベーターに乗り込み、一階のホールに出た。 <br />一樹が来た時は見掛けなかった制服姿のガードマンが、二人を見ると軽く会釈をしてきた。 <br /><br />「晩ご飯なににしよーか？ 最近、料理習ってるからレパートリーあるよ。」<br />持田は少し照れながら、一樹の顔を見て言った。<br /><br />「そーだなぁ・・・。持田家の麻婆豆腐がいーかな。」 <br />一樹が笑いながら答えると、持田もはにかむように笑顔を見せた。<br /><br />二人は駒沢通りを渡り、地下鉄の駅の方へと歩いていった。 <br /><br />私鉄が乗り入れる地下鉄駅の近くにあるスーパーに入り、二人は買物を済ませた。 <br />店内は夕食の買物をする主婦で混み合っていたが、特に持田に気付く様子もなく、<br />また、持田も堂々としたものだった。 <br /><br />「よくここで買物するの？」<br />買物袋を下げた一樹は、横を歩く持田に聞いた。<br /><br />「ううん。ここは滅多に来ないかな。だいたいは仕事帰りの車で済ましちゃうから。」<br /><br /><br />通りを走る車のヘッドライトが点灯しだす中、二人は来た道を戻っていった。 <br />部屋に戻ると持田はジーンズをさっきまでのスウェットに履き替え、キッチンに入った。<br /><br />「一樹くん、先にお風呂入る？ その間に晩ご飯の用意しとくからさ。」<br />買い物袋から食材を出しながら持田が言った。 <br /><br />「じゃあ、そうしよーかな。いい？」 <br /><br />「そーして。今、お風呂案内するから。」<br />昼に着けていた赤いエプロンを纏い、持田は浴室へと向かった。<br /><br />浴室は大きな鉢植えの観葉植物が置かれている以外、余計なものは無くシンプルだった。 <br /><br />「着替えも買ってくればよかったね・・・私のじゃ、小さいもんね。」<br />持田はバスタオルを吊り棚から出しながら言った。 <br /><br />「ありがとう。でも大丈夫だよ。」<br />一樹が頷くと、持田は浴室から出ていった。<br /><br />服を脱ぎ、シャワーを浴びる一樹。<br />床に置かれたシャンプーで髪を洗うと、持田の髪と同じ香りがした。 <br /><br />風呂から上がり、一樹がリビングに戻るとテーブルには食器やグラスが並べられていた。<br /><br />「お風呂ちょうどよかった？ もうすぐ出来るから、座って待ってて。」<br />缶ビールを片手に、キッチンから顔を覗かせる持田。<br /><br />「気持ち良かったよ。うちの風呂より、ずっと快適だったよ。」<br />持田から缶ビールを受け取ると、一樹は笑顔で答えた。<br /><br />最近、料理に凝ってるというだけあって、キッチンに立つ持田は実に手際よく動いていた。 <br /><br />「ご飯も炊いたんだけど・・・後のがいいよね？」<br />持田は料理をテーブルに運ぶと、一樹の向かいに座り言った。 <br />テーブルには麻婆豆腐とグリーンサラダ、惣菜の煮物が並べられた。 <br /><br />「うん。」<br /><br />「まだあるから、おかわりしてね。」<br />持田は大皿から麻婆豆腐を取り分けると、一樹を見て言った。 <br /><br />「うん、美味しそうだね。テレビで見て、これ食べたかったんだ。」<br />一樹の言葉に、持田は照れ臭そうな笑顔を見せた。<br /><br />麻婆豆腐は程よい辛味でビールがすすんだ。<br />サラダのドレッシングも手作りらしく、とても美味しかった。 <br /><br /><br />「香織ちゃん、旅行の写真撮ってたっけ？」<br />一通り食事を終え、一樹は言った。 <br /><br />「ううん。カメラは持ってったんだけど・・・全然撮らなかったんだ。」<br />持田は少し残念そうに答えた。 <br /><br />「携帯だけど撮ったのあるよ。香織ちゃんも写ってるよ。」 <br />一樹はジーパンのポケットから携帯電話を取出しながら、笑顔を向けて言った。<br /><br />「うそ～！ 見せて！」<br />持田は立ち上がると一樹の横の椅子に座り、携帯の画像を覗き込んできた。 <br />顔を寄せた持田の髪からは、さっき一樹が使ったシャンプーと同じ香りがした。 <br /><br />一樹は画面を覗き込む持田の横で、フォルダから撮影画像を出した。 <br />そこには持田が沢で足を洗う様子や、ホテルのベッドで朝食をとる姿が写されていた。 <br /><br />「え～、いつの間に撮ったの？ 全然気付かなかった。」<br />持田は照れながらも楽しそうに携帯画面に見入っていた。<br /><br />「黙っててごめんね。またこうして香織ちゃんと会えると思ってなかったからさ。」<br /><br />「隠し撮りはダメだよ。」<br />申し訳なさそうに謝る一樹に、持田は少し怒ったふりをしてみせた。<br /><br />画面に写る持田は、全くカメラを意識しない自然体の姿だった。<br /><br />「でも・・・旅行楽しかったね。」<br />画面を見つめながら、持田はまるで昔のことのように懐かしそうに言った。 <br />芸能界の一線で活躍する彼女には、中々こうした機会はないのだろう。 <br /><br />「・・・片付けちゃうね。」<br />ふいにテーブルの食器類に目を移し、持田が言った。 <br /><br />「手伝うよ。」<br />一樹も携帯を閉じると、食器をカウンターに運びだした。<br /><br />エプロンを纏いキッチンに入った持田は手際よく食器を洗うと、あっと言う間に片付けた。 <br /><br /><br />「お風呂入ってきちゃうから、待ってて。」<br />持田はエプロンを外しながら一樹に言った。<br /><br />一樹は笑顔で頷くと、持田に入れてもらったコーヒーを手にソファーへと移動した。 <br />持田が浴室へと消えると、リビングに静寂が訪れた。<br /><br />一樹はソファーに腰を下ろしていた。 <br /><br />突然、携帯の呼出し音が鳴り響いた。<br />着信音と共に振動音も聞こえる。<br />どうやら、テレビの横に置かれた持田の携帯電話からのようだ。<br /><br />呼出し音は２０秒ほど鳴り響き、やがて鳴り止んだ。<br />再びリビングに静寂が訪れた。 <br /><br /><br />浴室のドアが開く音が聞こえ、ほどなく持田がリビングに戻ってきた。 <br />髪にタオルを巻き、少し上気した顔でキッチンに向かうと<br />冷蔵庫からお茶を取り出し、グラスに注いだ。 <br /><br />銀色のシルクのパジャマを身に付けた後ろ姿が、きれいで可愛かった。 <br /><br />「テレビ見てたの？ 何かやってる？」<br />持田はグラスを手に、一樹の隣に座った。 <br /><br />「面白そうなの、やってないね・・・あっ、さっき携帯鳴ってたよ。」 <br /><br />「ほんと？ 誰かな。」<br />持田はグラスを置き、立ち上がるとテレビの横に置かれた携帯を開いた。 <br /><br />「あ、一郎さんからだ。メールも入ってる。」 <br /><br />「一郎さん？」<br />最初、一樹は分からず思わず聞き直した。 <br /><br />「伊藤一郎さん。」<br />持田は一樹に目を向け、フルネームで言い直した。 <br /><br />「空港から送ったお土産が届いたみたい。」<br />持田は携帯に目を戻すと、慣れた手つきで返信メールを打ちだした。 <br />酒好きの伊藤には、ツマミになりそうな地鶏の薫製や漬物類を送ったとのことだった。<br /><br />メールを打ち終えると持田は空いたグラスにお茶を注ぎにキッチンに行き、<br />一樹の分のコーヒーも持ってきてくれた。<br /><br />「映画観ない？ 観てないの、まだあるんだ。」<br />持田は棚からDVDを一本取り出し、また一樹の隣に座った。<br />一樹の知らない、ヨーロッパの古いモノクロ映画だった。 <br /><br />「泣けるらしいよ。」<br />持田は少し笑いながら、テーブルに置かれたリモコンで部屋の照明を落とした。 <br /><br />一瞬、肩が触れた。<br />持田の身体は、まだ風呂上がりの温かさが残っていた。 <br /><br />一樹は持田の背中に手を回し、軽く抱き寄せた。 <br />素肌に直接パジャマを着ているらしく、滑らかな背中に下着の抵抗はなかった。 <br /><br />映画はナチスを舞台にした悲しい恋愛ストーリーで、二時間以上にわたる長編だった。 <br />時折、目元に手を当てる仕草を見せながら持田は食い入るように観ていた。 <br /><br /><br />「よかったね・・・。」<br />一樹の顔を見上げながら、持田は呟くように言った。<br /><br />ストーリーとしては悲しい結末を迎える作品だ。<br />映画自体を評して言ったのだろう。 <br /><br />「香織ちゃん・・・もしかして涙もろい？」<br />少しだけ潤んだ彼女の大きな目を見て、一樹は言った。 <br /><br />「う～ん・・・でもこーいうのは弱いかも。」<br />持田は照れながらそう言うと、リモコンをテレビに切り替えた。<br /><br />既に午前０時を大きく回っていた。<br />だが土曜の深夜ということもあり、各局とも番組は続いていた。<br /><br />途中、チャンネルを回す中で音楽ランキングの番組もやっていたが、<br />持田は興味無さそうに他局に変えた。 <br /><br />「面白いの、やってないね・・・。」<br />旅行の疲れが抜け切れていないのか、持田は少し眠そうに小さく欠伸をした。<br /><br />座り心地のいいソファーとビールの影響からか、一樹も少し眠くなっていたところだった。 <br /><br />「一樹くん・・・寝る・・・？」<br />持田は一樹の眠気を察知したように言った。<br /><br />「寝る場所なんだけどさ・・・私と一緒のベッドでいいかな？ お客さん用の布団とか無いんだ・・・。」 <br />照明の落ちたリビングのテレビ明かりを受けながら、持田は少し恥ずかしそうに言った。 <br /><br />「うれしいよ・・・香織ちゃんのベッドで一緒に寝られるの。」<br /><br />一樹の言葉に持田は顔を赤らめた。 <br /><br /><br />「こっちだよ・・・。」<br />ソファーから立ち上がると、持田は買い物の際に着替えた洋室へと向かった。 <br /><br />寝室は十畳ほどの広さで、セミダブルのベッドの他に<br />シングルのソファーとテーブルが置かれていた。 <br />天井には照明が無く、コーナーにある二つの大きなスタンドが部屋の明るさを保っていた。 <br /><br />「ジーンズのままじゃ寝にくいよね・・・いいよ、脱いじゃって・・・。」<br />ベッドの前に立ち、持田は言った。<br /><br />一樹はベルトを緩めジーンズを脱ぐと、手を差し伸べる持田に渡した。 <br />ふとテーブルに置かれた数冊のノートと、文字の書かれたレポート用紙が一樹の目に入った。 <br /><br />「あ・・・恥ずかしいからあんまり見ないで。」<br />それに気付いた持田は慌てて言った。<br /><br />「まだ出来上がってない書きかけの詞とかだから・・・。」 <br />一樹のジーンズをソファーの背もたれに掛けると、持田は掛け布団を上げてベッドにもぐり込んだ。<br />持田は中央より右側に体を寄せ、一樹のスペースを空けてくれている。 <br /><br />「ここで書いてるんだ？」<br />一樹は一旦ベッドに座ると、持田に添うようにゆっくりと横になった。<br /><br />ホテルのベッドとは違い、布団もシーツも枕も全てが持田と同化した匂いを放ち<br />一樹を興奮させた。<br /><br />「消す・・・？」<br />仰向けの体勢から身体をひねり、枕元のリモコンに手を伸ばすと持田は言った。 <br /><br />「うん、そーだね・・・。」<br />持田からリモコンを受け取ると、一樹はスタンドの照明を一段落とした。<br /><br />部屋は電球色の小さな明かりだけとなり、微かに持田の表情が分かる程度になった。 <br /><br />うっすらと持田の視線が分かった。<br />一樹が優しく髪を撫でると、持田は心地よさそうに目を閉じた。 <br /><br />スタンドから放たれる僅かな明かりの中、持田は穏やかに目を閉じていた。 <br />髪を撫でる一樹の優しい手の温もりが、時折り頬や耳元に触れるのが心地よかった。 <br /><br />「香織ちゃんの匂いに酔いそうだよ・・・。」<br />囁くような声が耳元で聞こえた。<br /><br />持田は微かに目を開いた。<br />頬に触れる一樹の右手に力が加わり、首筋に唇の温もりを感じる。 <br />唇と吐息はゆっくりと首筋を伝い、やがて細い喉元に達した。 <br /><br />「はぁあ・・・。」<br />一樹の息遣いと重みを受け、思わず持田は声を洩らした。<br /><br />ふいに両頬を押さえられた。<br />顎を反らされ、喉元から唇が離れると次の瞬間、強い力で口をふさがれた。<br /><br />唇が重なり、ゆっくりと一樹の舌が入ってくるのが分かった。<br />胸を圧迫する重みと絡み付く舌に、持田は身体を震わせた。<br /><br />一昨日、ホテルで夜を伴にした時とは比較にならない強い鼓動が一樹の胸から伝わってきた。<br />一樹は息を洩らすことすら許してくれなかった。<br /><br />持田は一樹の胸を下から押したが、既に抵抗にならなかった。 <br />まるで動きを読まれているかのようだった。<br /><br />唇をふさがれたまま、今度は両肩を押さえられた。 <br /><br />「じっとしてて・・・。」<br />一瞬、唇が解放され、口元で一樹が囁くように言った。<br /><br />「・・・・・・。」<br />持田は大きく息を吸い込み、一樹を見つめた。<br />呼吸を調えるのに精一杯で言葉が出なかった。 <br /><br />薄明かりの静かな室内に、持田の荒い息遣いが聞こえていた。 <br />胸は大きく上下し、潤んだ目は下から強い視線で一樹を見つめていた。<br /><br />再び一樹は唇を重ねた。<br />さっきのように荒々しいものではなく、触れては離れる動きを繰り返した。<br /><br />徐々に持田が落ち着きを取り戻すのが分かった。<br />肩の震えがおさまり、視線にも穏やかさが戻ってきた。 <br /><br />一樹は肩からゆっくりと右手を下ろし、持田の左胸で止めた。<br />一瞬、彼女の見つめる視線に力が蘇った。 <br />しかし抵抗は無かった。<br /><br />一樹はシルクの薄い布越しに、その胸を包み込む。 <br />親指を優しく動かすと、手の平に収まる柔らかな膨らみの中央に突起が現れ、<br />持田の口から息が洩れた。<br /><br />「ダメ・・・。」<br />一樹の手の動きから逃れようと、持田は上体を反らせ身体を左にひねった。<br /><br />上に乗る一樹の重みが増した。<br />同時に強い力で右肩をベッドに戻され、再び唇をふさがれた。 <br /><br />「ん・・・イヤ・・・。」<br />持田は首を振り、一樹の唇から逃れた。<br />上着のボタンが外されていくのが分かった。 <br /><br />「やだ・・・。」<br />再び持田の身体を震えが襲い、全身から痺れるように力が抜けた。 <br /><br />大きく息をする持田の前がはだけられた。<br />一樹の左手が上着の隙間から背中に回され、強く抱き寄せられた。 <br /><br />「きれいだよ・・・香織ちゃん・・・。」<br />一樹は背中に回した手で持田の上体を起こすと、上着を剥がすように脱がせた。<br /><br />持田が見つめる中、自分もＴシャツを脱ぐと再び重なるように持田を横たえた。 <br /><br />スタンドの僅かな明かりの中、持田の上半身がシルエットのように浮かび上がっていた。 <br />電球色の柔和な光を打ち消す白い身体は、若干赤みを帯びていた。<br /><br />一樹の左右の腕は持田の両脇から背中に回され、それぞれ肩を抱いていた。<br />持田は一樹の肩に手を軽く添えている。 <br />二人は重なり合う胸から互いの鼓動を感じていた。<br /><br />一樹は軽く唇を合わせると、そのままゆっくり首筋から肩口へと這わせていった。<br />持田は目を閉じていた。<br /><br />一樹の唇は肩口から徐々に下へと移動し、脇の方へと進んだ。<br />持田の身体はうっすらと汗ばんでいた。<br /><br />ふいに持田の右腕が、反発するように逆らった。<br />一樹が腕を掴み、上に上げたからだ。<br />持田の脇が露わになる。<br /><br />持田は湿り気のある温かさを感じた。<br />一樹の鼻先が脇の下に触れ、舌先が這うのが分かったからだ。 <br /><br />「やだ・・・やめて・・・。」<br />大きく息を吐き、持田は左手で一樹の肩を押したが抵抗にならなかった。<br /><br />一樹に左手を掴まれ、持田は背中を反らせ身体を浮かせた。 <br />掛布団が床に落ちるのが分かった。<br /><br />一樹の右足が、持田の閉じた膝の間に割って入ってくる。 <br /><br />「いや・・・。」<br />息遣いは更に大きくなっていた。<br />持田は膝を立て、上へと逃れようとした。<br /><br />一樹は持田の腕を頭の上に回すと、両手首を左手で掴んだ。<br /><br />持田は抵抗する術を失った。 <br />強い力で胸を握られ、再び唇から一樹の舌が入ってきた。 <br /><br />一樹は両手を少しづつ緩めてくれたが、放してはくれなかった。 <br />彼の舌は時折り唇を離れては、首筋から耳元を往復する動きを繰り返していた。 <br /><br />「乱暴にしてごめんね・・・。」<br />ようやく持田の両手を解放すると、一樹は囁いた。<br /> <br />持田の目に少し、安堵の色が浮かぶ。<br />言葉を発しない一樹に不安を感じていたようだ。 <br /><br />「ううん・・・でも、少し怖かった・・・。」<br />持田は解放された両手を一樹の頬に添えた。<br />持田の額にはうっすらと汗が浮かび、前髪がまとわり付いていた。<br /><br />一樹は再び唇を重ねた。<br />持田の胸に触れていた右手は徐々に下ろされ、腰骨の辺りまで進んだ。 <br />一樹の手が、サイドからスウェットの中へと入り込んだ。<br /><br />持田は潤んだ目で一樹を見つめている。<br /><br />一樹の指先は直ぐにショーツまで届いた。<br />そして右手を後ろに回すと、持田のお尻の肉を掴んだ。 <br /><br />持田の腰が浮いた。<br />親指がショーツの内側に掛かり、スウェットと共に一気に下ろされる。<br />唇の隙間から持田の息が洩れた。<br /><br />持田は目を閉じていなかった。<br />紅潮した顔で一樹を見つめている。<br /><br />細身のウエストから腰にかけてのラインは、十代の女には無い柔らかな膨らみを持っていた。 <br />一樹は右手を前に回すと、大きく波を打つ下腹部の中央から、<br />閉じきれない太股の奥へと指を進めた。 <br /><br />「いや・・・っ。」<br />持田の身体が軽い痙攣と共に跳ねた。<br /><br />一樹の指先を、粘りの少ない粘液が濡らした。<br />小刻みな呼吸を繰り返しながら、持田は一樹の目を見つめていた。<br /><br />一樹の右手はゆっくりと潤みを往復し、持田は耐えるように下唇を噛み締めていた。 <br />その右手は一樹の肩を掴んでいた。<br />左手は抵抗からか、彼の右腕を握り締めている。<br /><br />一樹は唇を重ねると、優しく舌を差し入れた。<br />持田も応えるように舌を伸ばし、少しづつ目を閉じていった。<br /><br />右手の動きを柔かみのある中心へと移すと、<br />一樹はゆっくり中指を潤みの中へ沈めていった。 <br /><br />「いや・・・ダメ・・・！」<br />持田が大きく反応した。<br />身体をひねり、両手で肩を押してきた。 <br /><br />だが一樹は止めなかった。<br />中指を、更に奥へと沈める。<br /><br />持田は潤いを伴った高い体温で、一樹の指を締め付けてきた。 <br /><br />「いやっ・・・！」<br />行き場を失ったかのように、持田が一樹の首にしがみついてきた。 <br />一樹が潤みの中で関節を曲げ、親指の腹で小さな突起を擦ったからだ。 <br /><br />持田の顔が一段と紅潮し、息遣いが荒くなる。<br />一樹は右手の動きを徐々に早めていった。 <br /><br />「ダメ・・・あっ・・・いやっ・・・！」<br />持田の背中が大きく反った。<br /><br />下から一樹を強く抱き締めてきた。<br />一樹の右手に粘りのある粘液が混ざるようになった。<br />空いている左手を持田の首の後ろに回すと、首筋に唇を当てた。 <br /><br />「あっ・・・いやっ・・・あ・・・・・・！！」<br />持田の身体が硬直するのが分かった。<br />再び背中が大きく反った。<br /><br />持田の身体に痙攣が走り、同時に一樹の中指が強く締め付けられた。 <br />程なくして、一樹の首に回されていた両腕がゆっくりとほどけ落ちた。<br /><br />持田はベッドにうなだれ、虚ろな目で一樹を見つめていた。<br />両腕をベッドに投げ出し、半ば放心状態で見つめている。 <br />まだ呼吸は荒く、無防備に晒した胸は大きく躍動していた。<br /><br />一樹は左手で持田の髪を撫でながら、潤みからゆっくりと中指を抜いた。 <br /><br />「あ・・・。」<br />持田の体が反応した。<br />一度達したせいか体が敏感になっているようだ。<br /><br />一樹が唇を重ねると、持田は穏やかに目を閉じた。<br />呼吸を調えるかのように、動こうとはしなかった。<br /><br />一樹は唇を離し、首筋から胸元へと舌を這わせると上体を上げ、右手で強く胸を掴んだ。 <br /><br />持田は息を吸い込みながら薄く目を開き、一樹を見上げた。<br />一樹の右手に持田の強い鼓動が伝わってくる。<br /><br />胸から直ぐに手を離した一樹は、身体を後方に下げると持田の膝を掴み、両脚を大きく開いた。<br /> <br />一樹の身体が脚の間に入ってきた。<br />持田は戸惑いの表情を浮かべたが、目はまだ虚ろなままだった。<br /><br />一樹は上体を倒し、両手で持田の腰を掴むと唇を下腹部に当てた。<br />細い腹筋が萎縮するのが分かった。 <br /><br />「いやっ・・・！」<br />持田は一樹の動きを察知して叫んだ。<br />両膝で一樹の身体を挟む。<br /><br />腰を掴む一樹の手に力が加わり、上へと逃れようとする持田は引き戻された。 <br /><br />「やだよ・・・一樹くん・・・恥ずかしいって・・・！」<br />持田は膝に力を込め、一樹の頭を掴んで抵抗した。<br /><br />一樹は腰から手を放し、内側から太股を掴むとゆっくりと潤みに顔を沈めた。 <br /><br />「ダメッ・・・！」<br />震える腰が浮き、一樹の頭を掴む手に力が込められた。 <br /><br />持田は顔を横に背けていた。<br />両手で一樹の頭を掴み、耐えるように目を閉じていた。 <br /><br />「やめてっ・・・ホント恥ずかしいからっ・・・！」<br />持田は何度も訴えたが一樹は動きを止めなかった。<br /><br />一樹の鼻先が、毛足の短い薄い茂みに触れた。<br />水着のラインに合わせて処理が施され、狭い範囲を覆っていた。<br /><br />唇が潤みに触れた。<br />全体に作りが小さく、色白の肌に合わせたかのように色素が薄かった。 <br />一樹は潤み全体を覆うように唇を被せると、舌先で突起を探した。 <br /><br />「いやっ・・・あっ・・・！」<br />持田の腰が浮き、両手に太股の震えが伝わってきた。<br /><br />舌先を上下に這わせると、弾力のある小さな突起に触れるのが分かった。 <br /><br />「ダメッ・・・いやっ・・・！」<br />柔らかな脂肪に包まれた太股の筋肉に緊張が走り、一樹の頭を挟んだ。<br /><br />舌先は突起に触れると何度かその周囲を往復し、ゆっくりと潤みの中心へと向かった。 <br /><br />「いやっ・・・！」<br />持田が反応した。<br /><br />一樹が親指で潤みを左右に開くと、湿りのある音と共に小さく口を開けた。<br /><br />一樹は舌先を侵入させた。<br />潤みの中は熱く、不規則にうねる奥から粘液が溢れてくるのが分かった。 <br />それを下から絡め取るように、一樹は舌先ですくい上げた。<br /><br />持田の言葉が止んだ。<br />両脚はより強い力で一樹を挟み、小刻みな息遣いになっていた。<br />近づいているのが分かった。<br /><br />潤みから顔を上げると、一樹はトランクスを脱いだ。<br />既に十分な状態にあった。<br /><br />持田の片膝を抱え、その先端をゆっくりと潤みに近付けた。<br />持田に抵抗は無かった。 <br /><br />潤いの量を確かめながら、一樹は先端を当てる。<br /><br />持田は僅かに開いた目で、一樹を見つめている。 <br />小刻みな息遣いが聞こえる。<br /><br />「あ・・・！」<br />先端が潤みを往復し突起に触れると、息と共に小さく声が洩れた。<br /><br />一樹は馴染ませるようにその先端を潤みに這わせ、中心を押し開くようにゆっくりと沈めていった。 <br /><br />「いや・・・っ！」<br />これまでより大きな声が洩れた。<br />苦痛に耐えるかのような表情を浮かべ、虚ろだった目が見開かれた。<br /><br />逃れようとする持田の身体が、ベッドの上部へと動いた。<br />息遣いが荒くなり、柔らかな下腹部が波を打った。<br /><br />一樹は抱えた片膝を下ろすと、身体を重ねながら持田の両肩を掴んだ。<br />彼女の華奢な肩から、震えが伝わってくる。 <br /><br />「あっ・・・いやっ・・・！」<br />汗ばむ細い身体を大きく反らせ、高い声が洩れた。<br /><br />一樹は体重をのせ、更に腰を深く沈めた。 <br /><br />「あ・・・いや・・・ダメ・・・！」<br /><br />一樹の腰が大きく膝を割った。<br />持田の腰が震えた。<br /><br />一樹の先端は持田の一番奥に達していた。 <br />下半身が彼女の熱い体温と粘膜に包まれた。<br /><br />大きく二度ほど動くと、充分な潤いが滑らかに迎え入れてくれた。 <br /><br />持田が一樹の首に腕を回し、下から唇を求めてきた。<br />汗ばんだ耳元からは髪の香りが強く漂っている。<br /><br />一樹は、潤んだ目で見つめる持田がたまらなく愛しく思えた。<br />包み込むように抱き締め、強く唇を重ねた。 <br /><br />「んっ・・・あっ・・・！」<br />一樹の腰の動きに合わせ、重ねた唇から声が洩れた。<br />直線的な動きにより、強く反応した。 <br /><br />「いや・・・ダメッ・・・！」<br /><br />一樹は持田の腰を抱えると、一気に上体を起こした。<br /><br />持田の身体が大きく後ろに反った。 <br />持田は繋がったまま、跨がるように一樹の腰に乗せられた。 <br /><br />二人はベッドの上で、向き合うように座っている。 <br />持田が後ろに倒れないよう一樹は両手を腰に回し、持田は一樹の首に腕を回している。<br /><br />暫く二人は動かなかった。<br />持田自身の体重で、互いに深い繋がりを下半身に感じていた。<br /><br />一樹は、目線の位置にある持田の胸に顔を埋めた。<br />柔らかな二つの膨らみが優しく包んでくれた。 <br /><br />「香織ちゃんが好きだ・・・ほんとうに大好きだよ・・・。」<br />無意識に口から言葉が出た。<br /><br />持田からはその言葉への返答は無かった。<br />だが意思を伝えるように、両手で頭を強く抱き締めてくれた。 <br />嬉しかった。<br /><br />一樹は持田の背中を抱き寄せると、再び丁寧にベッドに横たえた。<br /><br />持田の息はまだ少し荒かった。<br />虚ろな目で一樹を見上げていたが、唇を重ねると静かに閉じていった。<br /><br />一樹はゆっくりと長いストロークで動いた。<br />持田もそれを受け入れるように腰を上げ、唇から声を洩らした。 <br /><br />「あっ・・・ダメッ・・・！」<br /><br />重なり合った胸から、徐々に早まる鼓動を感じた。<br />顔に赤みが増してきていた。 <br />再び高みへと向かっているようだ。<br /><br />逃れようとする動きは無かった。<br />求める動きに変わっていた。<br /><br />一樹は動きを早めた。<br />両肩を強く抱き、唇を吸った。<br />声にならない声が持田の喉元から聞こえた。 <br /><br />「もうダメっ・・・来てっ・・・！」<br /><br />唇を離した持田の囁きが耳元で聞こえた。<br />一樹の腰が両手で強く掴まれた。 <br /><br />「あっ・・・いやっ・・・！」<br /><br />持田の両膝が真直ぐに伸びると、震えと共に息が止まり、身体が硬直するのが分かった。<br />一樹も限界だった。<br /><br />一際強く抱き寄せられ、深く腰を沈めると同時に果てた。 <br />持田の身体が下で大きく反発し、そして沈んだ。<br />二人は重なり合ったまま動けなかった。 <br /><br /><br />一樹は持田の中で徐々に力を失っていった。 <br />それは自分が得た満足感を、持田にも与えられたとの達成感からかも知れない。<br /><br />今日の持田には、表情や仕草全てに優しさがあった。<br />初めて抱いた時よりも、更に近づけたという思いもあった。<br /><br />持田は穏やかな表情を向けていた。<br />枕の下から腕を回すと、心地好さそうに目を閉じた。 <br /><br />無防備に隣で寝てくれる姿が愛しく、<br />言葉もないまま、いつしか二人は静かに眠りに落ちていった。 <br /><br /><br />二人は日曜日の大半を寝室で過ごした。<br />どちらからともなく目を覚まし、一緒にいたいという思いだけがあった。<br /><br />互いに分かっていた。<br />火曜日から続いた持田の休みも今日までだ。<br />一樹も明日からまた元の日常が始まる。<br /><br />その思いを振り払うかのように持田は身体を伸ばすと、<br />傍らのテーブルから詞を綴ったノートを見せてくれた。<br /><br />そこには、既にＣＤに収められた曲の幾つもの詞のパターンがあった。 <br />詞は持田の最大の魅力の一つだ。<br />その時々の思いを、少ない言葉でストレートに出してくる。<br /><br />大変だとも言った。<br />曲に詞を乗せるのは、少なからずその時のテンションがリンクするという。<br /><br />１０年続けてきた中には色々あったようだ。<br />でも今は、とても楽しく仕事をしているという。<br /><br />一樹は持田の結婚に対する思いを訊いた。<br /><br />「いつかは・・・したいよ。」<br />持田は照れ臭そうに笑顔を向けた。<br /><br />一部のファンが熱望している“パートナーとの恋愛”は笑いながら否定した。 <br />出会ってから一度もアプローチを受けたことが無いという。<br />でも、それを凄く感謝してると言った。 <br /><br /><br />一樹は思い切って結婚を申し入れた。<br /><br />持田は真剣な表情を向けてくれた。 <br /><br />大きな目で見つめられ、少し間が開いた。<br /><br />「ありがとう。」<br />持田は静かに言ってくれた。 <br /><br />だが言葉は続いた。<br /><br />「今はまだ決められない・・・もう少し時間が欲しい。」<br /><br />充分だった。<br /><br />否定されたわけではない。<br />この世で一番好きな女性からの返事としては申し分なかった。<br /><br />明日以降も持田と繋がりを持てるという事が、今は何より嬉しかった。<br /><br /><br />窓からは強い西日が差し込んでいた。<br />八月も半ばを過ぎると、午後の日差しは部屋の奥まで届くようになる。<br /><br />一樹は、持田が数年前に書いた“夏の終わり”を詞に交えた曲を思い出していた。 <br />多くのアーティストが題材にするテーマだが、持田の詞が一番好きだった。 <br />持田自身も思い入れの深い曲だと語った記事を、何かで読んだ記憶があった。<br /><br />「明日から、冬のビールをテーマにした新曲の仕事に入るんだ。」<br />そう言って持田は微笑んだ。<br /><br />一樹はこれまで、持田には春が似合うと思っていた。<br />特に根拠はなかったが、そんな雰囲気を感じていた。 <br />しかし今回の旅行で、これまでの思いを覆す持田の魅力を見ることができた。<br /><br />きっと、これから訪れる秋や冬でも季節に応じた魅力的な一面を見せてくれることだろう。<br /><br />一樹は、そんな持田をずっと近くで見続けていきたいと思った。<br /><br /><br /><br />【完】<br />Original author ID:PlX０uysbO<br /><span style="color:#ff0000">※この物語はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ありません</span><br /><table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:none;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0027VIC96/oooobunko-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41JHf25BpNL.jpg" alt="タイトル未定(初回限定盤)(DVD付)" style="border:none;" /></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/B0027VIC96/oooobunko-22" target="_blank">静かな夜/weather【初回限定盤】(DVD付) [Single] [CD+DVD] [Limited Edition]</a><br />(2009/07/29)<br />持田香織<br /><br /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0027VIC96/oooobunko-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る</a></td></tr></table> ]]>
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<dc:subject>持田香織</dc:subject>
<dc:date>2009-07-16T00:00:00+09:00</dc:date>
<dc:creator>芥川Ｑ之介</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>二人 ～ｃｈａｐｔｅｒ３</title>
<description> 前作二人 ～ｃｈａｐｔｅｒ２一樹は、海側の窓から差し込む和かい日差しで目が覚めた。 空調が効きすぎているのか、少し空気が乾燥している感じだったが不快なほどではなかった。持田は、まだ一樹の横で小さな寝息をたてている。一樹は起こさないように持田の髪に触れた。 一時より短めにカットされた黒髪が、実際の年齢より幼く見せている。穏やかな寝顔をしていた。 昨夜、一樹は何度も持田を抱きしめ、持田もそれに応えるように
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<![CDATA[ <span style="color:#cc6600">前作</span><br /><a href="http://oooobunko.blog40.fc2.com/blog-entry-211.html" title="二人２">二人 ～ｃｈａｐｔｅｒ２</a><br /><br /><br />一樹は、海側の窓から差し込む和かい日差しで目が覚めた。 <br />空調が効きすぎているのか、少し空気が乾燥している感じだったが不快なほどではなかった。<br /><br />持田は、まだ一樹の横で小さな寝息をたてている。<br /><br />一樹は起こさないように持田の髪に触れた。 <br />一時より短めにカットされた黒髪が、実際の年齢より幼く見せている。<br /><br />穏やかな寝顔をしていた。 <br /><br />昨夜、一樹は何度も持田を抱きしめ、持田もそれに応えるように求めてくれた。<br />一樹自身を受けとめてくれた。<br /><br /><br />不意に、入口のインターホンが鳴った。 <br /><br />「おはようございます。ルームサービスです。朝食をお持ちしました。」<br />男の声が聞こえた。<br /><br />忘れていた。<br />昨夜、持田がシャワーを浴びている間に一樹は頼んでおいたのだ。 <br /><br />横で持田が小さく寝返りを打ち、目を覚ますのが分かった。 <br /><br />「おはよう。ちょっと待ってて。」<br />一樹は持田の顔を見て言うと、急いで浴衣を身に着け入口に向かった。<br /><br />ドアを開けて昨夜のルームサービスのワゴンを下げ、朝食のワゴンをテーブルの横まで運んだ。<br /><br />持田はまだベッドの中だった。<br />少しボーッとした目で、一樹の動きを眺めているようだった。 <br /><br />一樹は一旦テーブルの横まで運んだワゴンをベッドの横まで運び、持田の枕元に座った。<br /><br />「朝食を頼んでたの忘れてた。食べる？」<br />一樹は、ベッドの中にいる持田に笑顔で言った。<br /><br />持田はまだ眠そうだったが、少し間をおいて「おはよう・・・たべる。」と応え、微笑んだ。 <br />昼間の可愛い女の子になっていた。 <br /><br />「ここで食べてもいい？」<br />持田は一樹の顔を覗き込むように言った。 <br /><br />「そうだね、ここで食べようか。」<br />一樹は笑顔で応え、ワゴンをベッドのすぐ横に寄せた。<br /><br />持田は嬉しそうな笑顔を見せると、おもむろに上体を起こして<br />足元の布団まで這って行き、シーツを剥がし取った。 <br /><br />明るい部屋の中で、一切身にまとわない持田の白い裸が一樹の目に飛び込んできた。<br /><br />持田は一樹に背中を向けベッドの上で膝立ちになると、無造作にシーツを体に巻きつけた。 <br />驚いたように見ている一樹に、持田はイタズラ好きな子供のような笑顔を見せた。 <br /><br /><br />二人はさっきまで寝ていたベッドに並ぶように座り、ワゴンに向き合った。 <br />持田は胸から下をシーツにくるみ、一樹の横で胡坐をかくように座っている。 <br /><br />「行儀悪いかな？」<br />持田は一樹を見ながら、照れくさそうに言った。 <br /><br />「大丈夫だよ。」<br />持田の肩を抱き寄せ、一樹は笑いながら応えた。<br /><br />ワゴンの上には、ベーコンエッグ、トースト、サラダ、<br />それとオレンジジュースのボトルが並んでいる。 <br /><br />一樹が持田のグラスにオレンジジュースを注いでやると、持田はそれを一息に飲みほした。 <br />昨夜、それほど食べなかったからか、二人は１０分ほどで朝食を平らげた。 <br /><br /><br />食事が済むと、持田はシーツにくるまったまま一樹の横に寝転んだ。 <br />まだ少し眠そうな目で一樹を見上げている。 <br /><br />持田は枕元に座る一樹に髪を撫でられ、気持ち良さそうにシーツにくるまっていた。 <br />時折り目を閉じては、何を思ってか笑顔を浮かべている。 <br /><br />二人は特に会話を交わすわけでもなく、食後の満腹感からまどろんでいた。 <br /><br />海側の窓からは、起きた時よりも更に明るい陽射しが差し込んでいる。<br />今日も天気は良さそうだ。 <br /><br /><br />「え？」<br />何かをささやいた持田の声が聞き取れず、一樹は聞き直した。 <br /><br />持田が、また何かをささやいた。<br />楽しそうな笑顔を浮かべながら一樹を見つめている。 <br /><br />「え・・・なに？」<br />やはり聞き取れず、一樹は持田の口元に耳を近づけた。 <br /><br />いきなり、持田が一樹の首に両腕を回してきた。 <br /><br />一樹が驚いて顔を向けると、持田はそのまま一樹の顔を引き寄せて唇を重ねてきた。 <br />不意をつかれた一樹は前のめりに倒れそうになり、持田の両脇の辺りに手を着いて堪えた。 <br /><br />持田は、一樹の首に手を回したまま、顔を見上げ微笑んでいる。 <br />少し呆気にとられたが、段々と一樹も可笑しくなり、持田の横に肘枕をして寝そべった。 <br /><br />「さっき何て言ったの？」<br />一樹は持田の髪を触りながら聞いた。<br /><br />持田は答えず、微笑みながら一樹を見つめている。<br /><br />一樹は持田の頭の下に右腕を回し、腕枕をしながらもう一度聞いた。 <br />持田は一樹を見つめ、少しだけ間を置くと、体に巻いたシーツを一樹の頭に被せて言った。<br /><br />「恋をしている・・・って言ったの。」<br /><br /><br />二人はシーツにくるまっていた。 <br />持田は、仰向けに寝る一樹の胸に顔を乗せ、心地いい疲れにまどろんでいる。 <br />一樹も右手を持田の背中に回し、柔らかい肌の温もりを直に感じていた。 <br /><br />海側の窓から差し込む陽射しを受け、艶のある持田の黒髪が輝いている。 <br /><br />さっきの言葉の意味は聞かなかった。<br />態度や眼差しで十分理解できたからだ。 <br /><br />一樹は両手を持田の背中に回し、強く抱きしめた。<br />持田も一樹の首に両腕を回してきた。 <br /><br />「お風呂入ろうか？」<br />一樹が持田の髪を撫でながら問いかけた。 <br /><br />「・・・一緒に？」<br />持田は顔を上げ、少し間をおいて一樹を見つめながら言った。 <br />ちょっと照れながらも楽しそうな笑顔を浮かべている。 <br /><br />「お湯を入れてくるよ。」<br />一樹は持田の下から抜け出すと、浴衣を身につけバスルームへと向かった。 <br /><br /><br />浴槽の前に立ち、混合水栓の温度を調節し、<br />ジャグジーに切り替えると、お湯は勢い良く浴槽に吹き出した。 <br />この勢いなら、お湯は１０分ほどで溜まるだろう。 <br /><br />ベッドの方を見ると、持田はまだシーツにくるまり寝そべっていた。<br />こういう姿が素で似合う可愛らしい女の子だ。 <br /><br />「すぐ入れるよ。」<br />一樹は持田に声をかけた。<br /><br />持田はもぞもぞとシーツを巻き直しながら起き上がると、一樹に笑顔を向けた。 <br />そのままベッドから下りるとシーツを取り、浴衣を身に着け、一樹のいるバスルームへ向かう。 <br /><br />バスルームのドアを開けると、一樹がシャワーを浴びていた。<br />白い人造大理石に淡いグリーンの浴槽を組んだバスルームは、二人には十分すぎる広さだった。<br />浴槽のお湯は十分に満たされ、ジャグジーは止められていた。 <br /><br />「熱くない？」<br />持田を振り返り、一樹は彼女の膝下にシャワーでお湯をかけ聞いた。 <br /><br />「うん、大丈夫。」<br />一樹からシャワーを受け取り、持田は笑顔で答えた。<br /><br />一樹は笑顔で頷き、浴槽に体を沈めた。<br /><br />持田は首から下へと、ゆっくりシャワーを浴びだした。 <br />既に、お互いが裸であることに対する恥ずかしさは消えていた。 <br /><br />一樹は、気持ち良さそうにシャワーを浴びる持田を、浴槽に浸かりながら眺めていた。 <br /><br />その視線に気づいた持田は照れくさそうな笑顔を見せ、シャワーを止めしゃがみこんだ。 <br />浴槽の隅にある、幾つかのボタンに興味をもったようだ。<br /><br />持田は幾つかボタンを試すと<br />「ヘヘヘヘ。」と笑いながら、一樹に向き合うように浴槽に身体を入れてきた。 <br /><br />テレビなどで時折り見せる、あの屈託のない笑顔だ。<br />これが本来の持田なのだろう。<br /><br />浴槽はジェットバスに切り替わり、ダウンライトの照明が二人を照らしだしていた。 <br /><br /><br />浴槽は、互いにゆったりと向き合う形で入れる広さだった。 <br />ジェットバスの吹き出し口は持田の腰の位置にあり、気持ち良さそうに身体を反らせていた。 <br /><br />元来、風呂好きなのだろう。<br />はねたお湯が顔にかかっても気にする様子はなかった。 <br /><br />「マッサージしてあげる。」<br />持田がおもむろに一樹に言った。<br /><br />一樹の両足は持田の身体を挟むように伸ばされており、爪先は彼女の両脇の位置にあった。 <br /><br />持田は一樹の左足を掴むと器用に指を絡ませ、両手で足裏を指圧してきた。 <br />爪は短く切られていたが、予想外の強い力に驚いた。 <br /><br />「気持ちいい？」<br />持田は一樹に笑顔を向けながら聞いてきた。 <br /><br />「すごい気持ちいいよ。このまま眠りたいくらい。」<br />一樹は目を閉じて浴槽に背をあずけ言った。<br /><br />持田は、両足を１０分くらいマッサージしてくれた。<br />時折り踵が持田の柔らかい胸に当たり、それも気持ちよかった。 <br /><br />「やってあげる。」<br />一樹も言った。<br /><br />持田も一樹と同様に、彼の身体を挟むように両足を伸ばしている。 <br />一樹が持田の左足を掴むと、浅く腰を下ろしていた持田の顔が少しお湯に沈んだ。 <br /><br />「あ、ごめん・・・。」<br />慌てて足を放し、一樹は謝った。 <br /><br />「うん、大丈夫。」<br />持田は両手で鼻をこすりながら一樹に言った。 <br /><br />薄く小さな足だった。<br />力の加減に気をつけながら、一樹はゆっくりと指を這わせた。 <br /><br />持田は気持ち良さそうに目を閉じていった。 <br /><br /><br />持田は一樹の胸にもたれ掛かるように背中をあずけていた。 <br />さっきまで一樹に首と肩をマッサージしてもらっていたからだ。<br /><br />二人はまだ浴槽の中にいた。<br />ジェットバスを止め、一樹は後ろから持田のお腹に軽く両腕を回している。 <br /><br />ジャグジーからは少しづつ水が流れ込み、浴槽の温度を下げていた。 <br /><br />「今日は東京に帰らないとね。」<br />一樹が持田の肩にお湯をかけながら言った。 <br /><br />「うん。元々、二泊の予定だったしね・・・着替えとかももう無いし。一樹くんはいつまで？」<br />振り返らず持田は聞いた。<br /><br />「別に決めてないんだ。久しぶりに田舎が見たくて一人で来た旅行だし・・・。<br />　それに、こっちに友達がいるわけでもないしね。」<br /><br />二人の会話はここで止まり、少しの間お互い口を開かなかった。<br />ジャグジーから流れる水の音だけが静かに聞こえる。 <br /><br />「のぼせそうだね・・・出ようか？」<br />先に一樹が口を開き、持田もそれに頷いた。<br /><br />二人は一緒に立ち上がり浴槽から出ると、軽くシャワーを浴びてからバスルームを出た。 <br /><br />持田の白かった肌が、薄いピンク色になっていた。<br />やはり少し長く入り過ぎたようだ。 <br /><br />二人はバスタオルを巻いただけの姿で海側の窓の方へと歩いて行った。 <br /><br />一樹がレースのカーテン越しに窓を開けると、<br />明るい陽射しと共に潮風が部屋に吹き込み二人をつつみ込んだ。 <br /><br /><br />一樹は窓から海の景色を眺めていた。<br />昨夜脱いだジーパンとＴシャツは既に身に着けている。<br /><br />しばらくすると、手荷物を持った持田が洗面台から戻ってきた。 <br />真新しい細身のジーンズに水色のポロシャツ姿だった。<br />髪も整えられナチュラルなメイクもされている。 <br /><br />「お待たせ。」<br />持田が一樹に笑顔を向けると、一樹は持田の手荷物とカードキーを手にドアへと向かった。 <br /><br />外は快晴だった。<br />まだ１０時を回ったばかりだが、真夏日を感じさせる陽射しだった。 <br /><br />「チェックアウトしてくる。先に車で待ってて。」<br />持田に手荷物と車のキーを渡しながら一樹は言った。 <br /><br />「うん。車で待ってるね。」<br />一樹に応えると、持田は一人で駐車場の方へと石畳のスロープを歩きだした。<br /><br />駐車場に着くと、何組かの旅行客らしきグループがいた。<br />持田は、念のためバックからサングラスを取り出してかけた。 <br /><br />旅行客のグループは特に持田を気にする素振りもなく、ホテルや海をバックに写真を撮っていた。<br /> <br />持田は車のドアを開け、助手席に腰を下ろした。<br />車内は直射日光を受け、ムッとする暑さだった。 <br /><br />たまらず窓を開けようとしたが、エンジンを始動するのが面倒で、<br />仕方なく車の外で一樹を待つことにした。 <br /><br />「お待たせ。」<br /><br />ボンネットに寄り掛かり、海を眺めていた持田に一樹の声が聞こえた。 <br /><br />「もらってきたよ。」<br />振り返った持田に、一樹は新幹線と航空会社２社のタイムテーブルを渡しながら言った。<br /><br /><br />車はホテルの駐車場を右に折れ、海沿いの道を市内の方向へと向かっていた。 <br />今日はFMラジオの入りも良く、車内には軽快な夏の音楽が流れている。 <br />持田は、一樹から渡されたタイムテーブルに目を落とし調べていた。<br /><br />特に帰りの手段にこだわらない一樹は、持田に全て任せていた。 <br />東京駅までは新幹線で概ね４時間、羽田までは飛行機で１時間といったところだった。<br /><br />チェックアウトの際、一樹は叔父に電話を入れ、<br />これから車を返しに戻ること、東京へは今日帰ること、の二点を伝えていた。<br /><br />「いい時間帯のある？」<br />一樹は羽田線のフライト時間を調べている持田に声をかけた。 <br /><br />「どっちも本数が少ないから、１８時台の最終になっちゃうね。<br />　羽田着は１９時過ぎかな・・・大丈夫？」<br />持田は一樹を見て言った。<br /><br />一樹の自宅は、東京と神奈川を結ぶ私鉄沿線沿いのワンルームマンションだ。<br />羽田なら全く問題ない。 <br /><br />「俺は大丈夫だよ。一人暮らしだし。香織ちゃんは？」<br /><br />「うん、私も平気。それに休みもまだ三日あるし。」<br /><br />「じゃ、最終便の飛行機にしようか。」<br />一樹はハンドルを握りながら持田に笑顔を向けると、持田も笑顔で頷いた。<br /><br />叔父の家は、市内の繁華街から車で２０分ほどの所にある。<br />このペースで車を走らせれば、１２時には着くはずだ。 <br />一樹は昼食をとる店を何処にしようか考えていた。 <br /><br /><br />車は海沿いの道から市内方面へと折れ、徐々に市街地へと入っていった。 <br />平日ということもあり、走る車は商業車やタクシーが大半を占めている。<br />持田はサングラスをかけ、通り過ぎる風景を眺めていた。<br /><br />突然、一樹がハザードを点け、車を左側に寄せて停車した。<br /><br />「いろいろ考えたんだけどさ・・・、やっぱり外で昼食をとるのは止めた方がいいと思う。」<br />一樹は、持田の顔を見つめ言った。<br /><br />持田は一樹の方に向き直ると、サングラスを外し黙って一樹を見た。<br /><br />「この辺まで来るとそれなりの繁華街だし、絶対に持田香織ってバレると思う。」<br />一樹は、説得するような口調で言葉を続けた。 <br /><br />「もし良かったら、叔父さんの家で食べない？<br />　今は叔母さんと二人暮らしだし、気を遣うことないからさ。」<br /><br />「でも・・・突然、迷惑じゃない？ 初対面だし、いきなり昼食を食べに行くって。」<br />持田は、一樹の表情を確かめるように聞いた。 <br /><br />「そんなことないと思うよ。ちょっと待って・・・聞いてみるから。」<br />一樹は、携帯電話を取出すと番号を呼び出した。<br /><br />すぐに先方に繋がり、一樹は会話を始めた。<br />どうやら叔母さんと話しているらしい。 <br /><br />持田は一樹の表情を見ていたが、<br />叔母さんの声が大きく、話が丸聞こえだったので可笑しくてたまらなかった。 <br />今朝、一樹から電話があった時から、叔母さんは昼食を用意してくれるつもりだったようだ。 <br /><br />「大丈夫だよ。早く来なさいって。」<br />一樹は電話を終え、持田に笑顔で言った。 <br /><br />「うん。」<br />持田も笑顔で答えた。<br /><br /><br />郊外の叔父の家に着くと、一樹は庭の横の空いたスペースに車を止めた。 <br />ガレージに入れても、車好きの叔父がすぐに出して洗車するのを知っていたからだ。<br /><br />個人タクシーを営む叔父の車は無かった。<br />仕事で出ているようだ。<br /><br />二人は車を降りると、玄関に回った。<br />旧家らしく、古い大きな家屋で広い庭と納屋を備えていた。 <br /><br />「ただいまー。」<br />おもむろに一樹が大きな声で叫び、開放された玄関の敷居を跨いだ。 <br />親類の中でも、かなり親しい付き合いをしている関係なのだろう。 <br /><br />「おかえり～。一樹、上がってもらって。」<br />奥から、電話越しに聞こえた叔母さんの大きな声が聞こえた。 <br /><br />「香織ちゃん、上がって。気さくな叔母さんだからさ。」<br />一樹は、玄関先に立ち尽くす持田に笑顔で言った。<br /><br />一樹に案内され、持田は玄関から廊下を進んだ左手の居間に入った。 <br />十畳ほどの和室で、真ん中には巨大な座卓が置かれ、<br />座布団の上には、トラ柄の茶色い猫が眠っていた。 <br /><br />「ちょっと挨拶してくるね・・・。」<br />持田は先に座った一樹に言って、さっきの声の方向へと歩きだした。 <br /><br />「今行くから～、座って待っててね～。」<br />持田が歩きだすと同時に、奥から叔母さんの声が聞こえた。 <br /><br />「プッ・・・座ってなよ。」<br />苦笑いを浮かべている持田に、一樹は笑いながら言った。 <br /><br />持田は座卓に向き合う形で、一樹の隣に座った。 <br /><br /><br />二人は居間に座り、叔母が来るのを待っていた。 <br />南側の縁側に面する掃き出し窓からは、手入れの行き届いた庭と大きな池が見えた。<br /><br />一樹の話によると、池には一匹数十万円の錦鯉が何匹も泳いでいるらしい。<br />叔父の道楽とのことだ。<br /><br />何度か泥棒にも入られたらしく、その度に叔母が処分しようとするのを<br />なんとか思い止まらせたらしい。 <br /><br />持田は生真面目そうな叔父の違った一面を聞き、可笑しくなった。 <br /><br />「一樹～、ちょっと運ぶの手伝ってくれる～？」<br />奥から叔母の声が聞こえた。<br /><br />「今行くー。」<br />一樹は立ち上がろうとする持田を制し、台所へと向かった。<br /><br /><br />しばらくして一樹が戻ってきた。<br />手には、天ぷらが盛られた大皿を持っている。 <br /><br />「お待たせしました。ゆっくりしてってね。」<br />一樹に続き、トレーを持った叔母も居間に入ってきた。 <br /><br />持田は急いで立ち上がり、「持田です。今日は突然お邪魔しましてすみません。」と頭を下げ、<br />途中で買った菓子折りを渡した。<br /><br />「気を遣わなくていいのよ。お父さんからも聞いてるし。<br />　それに今朝、一樹から電話があった時から、お昼は用意するつもりだったんだから。」 <br />叔母は、優しい笑顔を持田に向けてくれた。 <br /><br />「たくさん食べてってね。」<br />叔母はそう言うとトレーから丼を取り、持田の前に出してくれた。 <br />出汁のいい匂いがするニシン蕎麦だった。 <br /><br />「美味しそう・・・いただきます。」<br />叔母に笑顔を向け、持田は箸を取った。 <br />隣では、一樹がニシン蕎麦に天ぷらをのせていた。 <br /><br /><br />三人は和室で座卓を囲みお茶を飲んでいた。<br />叔母が、空いた器を下げた後に入れてくれたのだ。<br /><br />叔父と一樹から持田のことは聞いているらしく、持田には特になにも聞いてこなかった。<br /><br />持田の膝の上には猫が乗っている。<br />彼女が猫好きと知っていた一樹が乗せたのだ。 <br />オスの４才で、名前は見てくれ通り“トラ”ということだった。<br /><br />特に名前を付けたわけではなく、叔父がそう呼んでいたのが何となく定着したらしい。 <br />人間には慣れているようで、持田の膝の上でも気持ち良さそうに喉を鳴らして寝ていた。 <br /><br />「飛行機で帰るんでしょ？ 空港まではどうするの？」<br />叔母が、一樹に確認するように聞いた。 <br /><br />「うん、駅からシャトルバスに乗ろうと思うんだ。駅まではタクシーになるけどね・・・。」<br />一樹は、持田を見ながら答えた。 <br /><br />「ごめんなさいね。私、運転できないから。」<br />叔母が申し訳なさそうに持田を見ながら言った。 <br /><br />「そんな、とんでもないです。こちらこそお昼をご馳走になっちゃって・・・。」<br />持田は慌てて叔母に言った。 <br /><br />「そろそろ行こうか？」<br />一樹は立ち上がりながら持田に言った。<br /><br />時計は１４時を差していた。 <br />駅から空港までは、シャトルバスで一時間位かかる。<br />フライト時間までお土産などを見るには丁度いい時間だ。<br /> <br />持田は改めて叔母に礼を言って立ち上がると、一樹と玄関に向かった。 <br /><br />「よかったら、また遊びに来て下さいね。」<br />叔母は、持田に笑顔を向けて言った。 <br /><br /><br />タクシーは二人を乗せ、駅前のロータリーへと進んでいった。 <br />まだ学生の下校時刻には早く、制服を着た生徒の姿は見当たらなかった。 <br /><br />あと一時間もしたら、駅前は学生達でごった返すはずだ。<br />やはり、早めに家を出て正解だった。 <br />タクシーを降り、二人は真っすぐシャトルバス乗り場へと向かった。 <br /><br />念のため、持田はサングラスを掛けた。<br />顔は十分隠れたが、やはり垢抜けた感は否めず、若者の目は引きそうだった。 <br /><br />一樹は急いで窓口で乗車券を買った。<br />既にバスは到着しており、すぐに乗車できるとのことだった。 <br /><br />「お土産とかは空港でいいかな？ 駅ビルだとちょっと・・・。」<br />一樹は、バスに向かって歩きながら訊いた。 <br /><br />「うん、いいよ。」<br />右手を一樹に引かれながら持田は答えた。<br />荷物は一樹が持ってくれていた。<br /><br />二人は運転手に乗車券を見せ、バスに乗り込んだ。 <br />まだ他に乗客は乗っておらず、一樹は持田の手を引いて最後部のロングシートに進み、<br />彼女を奥に座らせた。<br /><br />乗車券の番号とは違う席だが、おそらく問題無いだろう。<br />一樹は荷物を上部の棚に上げ、持田の隣に座った。 <br /><br />「○○空港は行ったことある？」<br />一樹は、持田に聞いた。 <br /><br />「ううん、初めて。東北は新幹線が多いから・・・それにこっち側は滅多に来ないし。」<br />持田は、途中から小声になった。 <br />乗車口からサラリーマン数人が乗ってくるのが見えたからだ。<br /><br />二人は会話を止め、乗車口を見た。<br />どうやらサラリーマンは前方の席らしく、間もなく四人が横並びに座った。 <br /><br />発車時刻が迫ってきたらしく、運転手はエンジンを始動させた。<br />持田が、ゆっくりと一樹の肩に頭をあずけてきた。 <br /><br /><br />バスは空港に向け走り続けている。 <br />途中、国道から県道に入ると、窓からの景色を田園から山林へと変えた。 <br />乗客は、一樹と持田以外、サラリーマン数人と老夫婦だけだった。 <br /><br />「もうすぐだよ。」<br />一樹は、肩口に頭を寄せる持田に小声で教えた。<br /><br />さっきまで目を閉じていた持田だが、サングラス越しに軽く目を開けて外の景色を眺めた。<br /><br />ほどなく運転手が車内アナウンスを始め、バスはターミナルへと進んだ。 <br />二人は乗降所に着くと、他の客が降りるのを見届けてから席を立った。<br /><br />「先に搭乗手続きをしようか？」<br />フライトまでまだ時間はあったが、荷物が煩わしかった一樹は言った。<br /><br />持田も頷き、二人はカウンターへと歩いていった。 <br /><br />「私が出す。」<br />カウンター横の発券機前に来ると持田は財布を取り出し、航空券二枚を購入した。 <br /><br />「いろいろ出して貰ってるし。」<br />持田は笑顔を向け、一樹に一枚を差し出した。<br />スーパーシートの航空券だった。<br /><br />二人はカウンターで搭乗券を受け取り、二階の待合所へと向かった。 <br />フライトまでは一時間ほどあった。<br />東京の天候も良く、電光掲示板の出発予定には定刻と表示されている。<br /><br />二人は、お土産店をぶらぶら歩きながら時間をつぶした。 <br />途中、持田は年配の店員がいる店を見つけ、たくさんの土産品の郵送手続きをした。 <br />一樹は近くのソファーに座り、そんな持田を眺めていた。 <br /><br />「お待たせ～。」<br />買い物を終え、店から出てきた持田は一樹の隣に座った。 <br /><br />「一つあげる。」<br />持田は、手にしていた携帯ストラップの一つを、照れくさそうに一樹に渡した。 <br /><br /><br />搭乗受付開始のアナウンスが館内に流れると二人は立ち上がり、搭乗口へと向かった。 <br />二人とも問題なくゲートをくぐり、自動改札を抜け、機体の入口へと進んだ。 <br />小さな空港だからか、バスの移送は無く、ダイレクトに搭乗するようだ。 <br /><br />入口では、キャビンアテンダントが笑顔で迎えてくれた。 <br />一樹が席が分からず迷っていると、気持ちの良い笑顔で二人を席まで案内してくれた。 <br /><br />「スーパーシートに乗るの初めてだよ。」<br />一樹は持田に言うと、周囲を見回した。<br />ほとんどの乗客は一般席だった。 <br /><br />「贅沢だけど、あんまり若い人乗ってないから。だからグリーン車とか、こういう席を取るの。」<br />持田は窓際に座り言った。<br /><br />一樹も持田の隣に座った。<br />新幹線のグリーン車並みのゆったりしたシートで、驚くほど背もたれが倒れた。<br /><br /><br />しばらくすると機内放送で離陸の案内が流れ、機体がゆっくりと動きだした。 <br /><br />「四日ぶりの東京だね。旅行、楽しめたかな？」<br />一樹は、サングラスを外した持田の顔を見て言った。 <br /><br />「うん、楽しかった。ありがとう・・・何かずいぶん久しぶりって感じ。」<br />持田は笑顔を向けて答えた。<br /><br />両翼のジェットエンジンに点火されたようだ。<br />機体は一気にスピードを上げ、間もなく上昇を始めた。 <br />窓からの景色は夕闇が覆っていた。<br /><br />機体は１０分ほど上昇を続け、やがて水平飛行に移った。 <br /><br /><br />二人は、シートベルト装着の機内アナウンスで目を覚ました。 <br />機体は空港上空で旋回しており、間もなく着陸態勢に入るとのことだった。 <br />キャビンアテンダントが、乗客のシートベルトを確認するために通路を歩いている。<br /><br />二人はリクライニングを戻し、シートベルトを装着した。<br />機内の照明はいつの間にか明るくなっていた。 <br /><br />「もうすぐだね。」<br />一樹は、持田の右手の窓の景色を眺め呟くように言った。<br /><br />機体はかなり地上に近いところで旋回しており、ライトアップされた吊り橋が輝いていた。 <br /><br />「うん、もうすぐだね・・・。」<br />持田も、小さな声で呟くように言った。<br />顔は窓に向けたままで、一樹には向けなかった。 <br /><br />機体は直線飛行に移り、軽い衝撃と共に滑走路に着陸した。<br />同時に両翼のエンジンが逆噴射され、一気に減速された。 <br /><br />着陸時の衝撃が苦手なのか、持田は正面を向き目を閉じていた。<br /><br /><br />間もなく機体は動きを止めた。 <br />二人はバスの時と同様に、他の乗客の最後尾に付いて飛行機を降り、<br />真っすぐ荷物の受取所へ向かった。<br /><br />持田はサングラスを掛けていた。 <br /><br />ベルトコンベアが動きだした。<br />二人は自分の荷物を確認するため、スタート地点を見つめていた。<br /><br />二人は、間もなく訪れる別れの瞬間を互いに予感していることを感じていた。 <br /><br />「あのさ・・・、もう会えないかな？」<br />一樹は沈黙を破り、思い切って声を出した。<br /><br />持田は一樹に目線を移した。<br />一瞬、驚きの表情になったが、すぐに笑顔に変わった。 <br /><br />「そんなことないよ。」<br /><br />持田が笑顔を向けると、一樹の顔いっぱいに笑顔が広がった。 <br /><br /><br />二人はタクシー乗り場に並んでいた。 <br />先に２０人ほど並んでいたが、それを上回る数のタクシーが待機しており、<br />すぐに順番は回ってきた。 <br /><br />「じゃ、気をつけて帰ってね・・・。」<br />先に持田を乗せると、一樹は閉まるドアの外で笑顔を向けた。 <br /><br />「うん・・・ありがとう。それじゃ明日、待ってるね・・・。」<br />持田は後部座席に座り、右手を振りながら笑顔で答えた。<br /><br /><br />持田を乗せたタクシーが走り去ると、一樹は次のタクシーに乗り込んだ。 <br /><br />「○○までお願いします。」<br />運転手に行き先を告げると、一樹は窓の外の景色に目を向けた。<br /><br />凄い旅行だった。<br />あの大ファンだった持田香織と出会い、これほど親しい関係になれるとは・・・。<br /><br />自宅のマンションも聞いた。<br />携帯番号やメアドの交換もした。 <br />一人暮らしの一樹に手料理を食べさせてくれるとのことで、明日は家に行く約束までしている。 <br /><br />タクシーは海沿いを走る高速を下り街中を抜け、暫らく走ると一樹のマンションに着いた。 <br />古いが、この辺では有名な大型のマンションだ。<br />一樹は去年、事故物件のワンルームを裁判所経由で格安で買っていた。<br /><br />部屋に入ると一樹はバックの中の衣類を洗濯機に投げ入れ、シャワーを浴びた。 <br />両腕には、まだ持田の柔らかな身体の感触がはっきりと残っていた。<br /><br />シャワーから出ると、一樹は冷蔵庫から缶ビールを取出しベッドに座った。 <br /><br />１０月からはビールの銘柄を変えることなりそうだ・・・。 <br /><br /><br /><br />【つづく】<br />Original author ID:PlX０uysbO<br /><span style="color:#ff0000">※この物語はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ありません</span><br /><table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:none;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000VSFMQ8/oooobunko-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51QzVd3jF2L.jpg" alt="恋をしている/冬がはじまるよ feat.槇原敬之" style="border:none;" /></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/B000VSFMQ8/oooobunko-22" target="_blank">恋をしている/冬がはじまるよ feat.槇原敬之</a><br />(2007/10/31)<br />Every Little Thing槇原敬之<br /><br /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000VSFMQ8/oooobunko-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る</a></td></tr></table><br /><span style="color:#cc6600">次作</span><br /><a href="http://oooobunko.blog40.fc2.com/blog-entry-217.html" title="二人４">二人 ～ｌａｓｔ ｃｈａｐｔｅｒ</a> ]]>
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<dc:subject>持田香織</dc:subject>
<dc:date>2009-07-13T00:00:00+09:00</dc:date>
<dc:creator>芥川Ｑ之介</dc:creator>
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